債務整理とは、国が認めた借金の減額や免除を行える借金救済制度です。
ただし、債務整理を行う債務者に対し、「無責任」「信用できない人」と否定的な感情を持つ人も多いです。
日本社会には、「借りたお金は必ず返さなければいけない。」という考え方が強く根付いています。
しかし、債務整理は法律等に基づく正式な手続きであり、債務者に認められた当然の権利といえます。
そこで今回は債務整理が正当な行為である根拠、債務整理の種類や特徴、そして債務整理に関するよくある質問等も解説していきます。
債務整理=クズ?
「債務整理をする人はクズ」と、債務整理をした人に対し厳しい批判の声があるのは事実です。
厳しい批判の理由としては「自分が負った借金返済の責任を、債務整理という形で放棄した。」という偏見や誤解があげられます。
そのため世間の目が気になり、債務整理を実行に移せない方々も多いことでしょう。
しかし、債務整理は国が認めた借金救済制度であり、再出発のための正当な行為です。
ここでは、債務整理がネガティブなイメージを持たれる背景、債務整理が正当な行為である根拠を説明します。
債務整理が「クズ」と言われる背景
債務整理にネガティブなイメージがあるのは、日本社会に「借金をしたら、必ず返済しなければいけない。」という考え方が強く根付いているからです。
また、日本社会では借金自体が憚られる行為であり、「借金をするのは身の丈をわきまえず、計画性のない人」と思われてしまう可能性はあります。
ましてや債務整理をするのは、自らの負った責任から逃れる行動と反感を持たれる場合があります。
そのため、「借金(=悪い行い)をしたうえに、債務整理まで行うのは無責任だ。」という先入観を抱く人も多いのです。
債務整理は法律で認められた正当な再出発手続き
債務整理による借金の減額や免除は、決して無責任な行為ではなく、国が認めた借金救済制度です。
債務整理は法律等に基づく正式な手続きであり、弱者救済の目的ために活用する制度といえます。
- 任意整理:法律に規定されていないものの、国の債務整理の紹介等で掲載(例)金融庁:多重債務者相談マニュアル〜「頼りになる」相談窓口を目指して〜。
- 自己破産:「破産法」で規定。
- 個人再生:「民事再生法」で小規模個人再生(同法第221条以下)、給与所得者等再生(同法第239条以下)に規定。
そのため債務整理の利用は、借金をした人(債務者)の社会復帰、そして経済的自立を目指す前向きな選択であるといえます。
債務整理とは|3つの手続きと選び方
債務整理は借金の減額や免除という形で、借金問題を解決する制度です。
主に「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つの手続きで解決を目指していきます。
債務者のニーズに応じていずれかを選び、手続きを進めていきます。
- 任意整理:債権者と直接交渉して利息等をカットしたい
- 個人再生:大幅な借金の減額を行いたい
- 自己破産:返済できないので借金をゼロにしたい
ただし、いずれの手続きにも利用条件があり、手続きが認められた場合の効果も異なる点に注意しましょう。
任意整理
任意整理とは、債務者と債権者(お金を貸した側)とで交渉し、双方が合意して借金の減額を行う債務整理です。
任意整理を利用すれば利息のカットや、返済期間の延長も認められる可能性があります。
また、複数の債権者がいる場合は、債権者を選んで交渉できる点もメリットです。
ただし、任意整理では借金の免除ができず、元金の減額も困難です。
任意整理はある程度の収入があり、返済能力のある債務者に向いている債務整理といえます。
一般的な任意整理の手順は次の通りです。
- 借金の現状を確認する:債権者から借りた金額・年月日・返済金額・返済期限をチェックし、残債務を確定する
- 返済計画案(整理案)の作成:返済期間(3〜5年程度)・毎月返済に充てる金額を決定
- 交渉開始:返済計画案(整理案)を作成後、債権者にその計画案送付・交渉を開始
- 債権者の同意・承諾を得る
債務者の提案を受け入れるか否かは債権者次第であり、債権者が納得し得るだけの返済計画案を提示しないと、なかなか相手方の同意・承諾には結びつきません。
そのため、任意整理の返済計画案の作成・交渉を、弁護士や認定司法書士(特別な研修を受け認定考査に合格した司法書士)に依頼し、手続きを進めるのが一般的です。
個人再生
個人再生は、大幅に借金が減額(最大借金総額の1/10)できる債務整理です。
個人再生を行うには、裁判所に申立て手続きを進める必要があります。
裁判所から申立が認可された場合、債権者はその決定に従わなければいけません。
個人再生には2種類の手続きがあり、一般的に「小規模個人再生」は個人事業主等、「給与所得等再生」は会社員等を対象としています。
なお、個人再生で借金が減額できるといっても、住宅ローンの減額は対象外です。
そこで申立のときに「住宅ローン特則」を付与すれば、債権者から住宅を競売にかけられず、返済の継続が可能となります。
個人再生では申立書類の収集、再生計画案の作成と様々な準備が必要となります。
そのため、弁護士(司法書士は書類作成のみ、申立代理人になれない)に手続きを依頼するのが一般的です。
個人再生の流れは次の通りです。
- 提出書類を準備し、裁判所に申立
- 約1ヶ月後に個人再生手続開始
- 債権者(賃金業者)へ債権届出送付
- 債権認否一覧表提出
- 再生計画案提出
- 書面決議(給与所得者等再生の場合は債権者の意見を聴く)
- 裁判所から再生計画認可決定を受ける
- 再生計画に従い返済開始
ただし、個人再生の申立は次のような条件を満たす債務者に限定されます。
- 住宅ローン等の被担保債権以外の負債額が5,000万円以内
- 継続的または反復して収入を得る見込みのある場合
- (給与所得等再生)収入は給料等でその金額が安定している
誰でも利用できるわけではないので注意が必要です。
自己破産
自己破産とは、裁判所に申立て借金の返済を免除してもらう債務整理です。
裁判所に破産申立を行い、破産手続開始決定が確定すれば借金はゼロになります。
自己破産に向くのは、次のケースに該当する債務者となります。
- 安定した収入がない
- 借金額が高額になり返済の見込みもない
破産手続費用が支出できると判断されたら「管財事件」として扱われ、裁判所が破産管財人を選任し、債務者は予納金(50万円程度)を支払わなければいけません。
ただし、弁護士を代理人とすれば「少額管財事件」の手続きが可能で、予納金は低額(20万円程度)に抑えられます。
一方、債務者に破産手続費用を支出する資力がないと判断された場合、「同時廃止事件」として手続きが進められます。
同時廃止事件では破産手続開始決定と同時に裁判所の決定がなされ、破産管財人も選任されません。
破産手続開始決定が確定するまでの流れについてみてみましょう。
- 破産手続開始申立:住所地を管轄する裁判所に、必要書類を提出し申立費用も支払う
- 審尋:申立人が裁判所から呼び出され、口頭で質問を受ける
- 破産手続開始決定または同時廃止の決定
- 官報への破産手続開始決定の公告
- 破産手続開始決定の確定:官報による公告の2週間後、破産手続開始決定が確定する
なお、ギャンブルや浪費で返済できなくなった等の免責不許可事由に該当すると、基本的に借金の免除は認められないので注意しましょう。
また、自己破産には次のようなデメリットもあります。
- 債務者名義の不動産・自動車等は基本的に没収・処分される
- 特定の職業に一定期間つけない
- 破産手続期間中の引っ越しや旅行は、原則として裁判所の許可が必要
そのため、自己破産の手続きを進めるかどうか慎重に検討しなければいけません。
債務整理がクズではない3つの理由
債務整理を進める債務者は無責任な人でも、不誠実な人でもありません。
何らかの理由で借金が返済できなくなる状況は、誰にでも起こり得る事態といえます。
債務整理は借金問題を放置しないための行動であり、借金に悩む方々が再出発するための正当な方法です。
ここでは債務整理が正当な方法である理由を取り上げましょう。
借金問題から逃げずに向き合う前向きな行動だから
債務整理の決断は、債務者自身が借金問題と真剣に向き合う行動といえます。
任意整理の場合は債権者に返済計画案を提案し、個人再生・自己破産は裁判所に申立を行い、解決を目指します。
債務整理の手続きを行う過程では、債権者の指摘・批判を真摯に受けとめ、煩雑で長期間に及ぶ可能性のある裁判手続きを進めていかなければいけません。
つまり債務整理を行う決断は、借金から逃げるのではなく、借金問題の解決を目指す姿勢の表れであり、勇気ある選択とも評価できます。
債権者側にもメリットがある(回収・損金処理など)
債務整理は債務者が得をするだけでなく、債権者にもメリットはあります。
- 任意整理に同意した、個人再生が認められたという場合は、一部でも債権が回収できる
- 正式に債務整理が行われた場合、原則として「貸倒損失」として損金処理ができ、法人税が軽減される
とくに任意整理の場合、元金ではなく利息等のカットで合意に至るケースがほとんどです。
そのため、実際に借りたお金分を債権者は回収できます。
また、債務者からの返済が途絶えただけでは、貸倒損失として損金の処理は困難です。
ただし、債務整理をすれば、債権者は損失の出た分を法人税の軽減に役立てられます。
法律に基づく公正な救済制度である
債務整理は国が正式に認めた借金救済制度です。
任意整理は法律に規定されていないものの、金融庁の債務整理マニュアルの中で紹介されています。
個人再生は民事再生法で規定されている手続きであり、自己破産は破産法で規定されている手続きです。
そのため、債務者が条件を満たしているなら、それぞれの債務整理を問題なく利用できます。
つまり、債務整理は債務者に用意された当然の権利といえます。
債務整理のメリット・デメリット
債務整理により債務者の借金を減額・免除できる反面、債務者の日常に影響を及ぼす可能性もあります。
債務整理を進めるときには、得られるメリットだけではなく、想定されるデメリットも慎重に考慮する必要があるでしょう。
債務整理に関する不明点・疑問点があれば、事前に弁護士や司法書士へ相談してみるのも良い方法です。
メリット
債務者にとって金銭的な負担の減免ができる他、「無理にでも借金を返済しなければいけない。」という精神的なプレッシャーから解放されます。
債務整理を行えば、債務者は生活再建へ前向きになれることでしょう。
ここでは債務整理の3つのメリットについて取り上げます。
借金の減額・免除で生活を再建できる
債務整理を行えば借金の減額や免除ができるので、生活再建が行い易くなります。
借金の重い負担が解消され、債務者本人や家族が生活の困窮に苦しむ必要もありません。
また、任意整理・個人再生・自己破産いずれを行っても貯蓄は可能です。
生活資金を堅実に積み立てていけば、今後、借金に頼らない生活を送れることでしょう。
取り立て・督促が一時的にストップする
自己破産が認められれば、債権者の執拗な取り立て・督促を受けなくなります。
また、任意整理や個人再生の場合、堅実に分割返済をしていけば、債権者は執拗な取り立て・督促を控えます。
一方、債務整理が認められない状況であっても、弁護士や認定司法書士に依頼し「受任通知」を債権者へ送付すれば、取り立て・督促の停止が可能です。
受任通知とは、弁護士等が債務者の代理人となり債務整理を進めると、債権者に知らせる方法です。
受任通知を送れば、債権者は債務者に取り立て・督促ができなくなります。
なお、受任通知を送付しなくとも、個人再生の場合は裁判所が再生手続開始決定をしたとき、自己破産は裁判所が破産手続開始決定をしたとき、取り立て・督促は停止されます。
迅速に取り立て・督促の停止を望むなら、弁護士や認定司法書士に受任通知を送付してもらいましょう。
精神的ストレスが軽減される
債務整理で借金問題が解決し、精神的なストレスが軽減されるのもメリットの一つです。
借金問題が解決できれば、借金の返済に追われずに平穏な生活を送れます。
債務者本人は精神的に安定し、精神的に追い詰められる毎日から解放されます。
余裕が生まれれば家族にも優しくなり、家族は安心することでしょう。
デメリット
債務整理を行えば、債務者本人や家族の生活にある程度影響を与える可能性があります。
とくに自己破産を行えば、借金を免除できる反面、債務者名義の財産は基本的に没収されてしまいます。
日常生活が不便となる事態も考慮しなければいけません。
ここでは、債務整理を行った場合の3つのデメリットについて取り上げます。
信用情報に事故が記録される(ブラックリスト)
債務整理を行うと、信用情報機関の管理する信用情報に、事故情報(債務整理をした事実)が登録されてしまいます(ブラックリスト)。
事故情報が登録されると一定期間にわたり、信用取引に制限がかかるので注意しましょう。
例えば新たなクレジットカードの作成やローン契約が困難になってしまいます。
ただし、信用情報機関によって事故情報が登録される期間は異なります。
- 株式会社日本信用情報機構 (JICC):主に消費者金融や信販会社、ローン会社等が加盟しており、事故情報登録期間は5年が目安。
- 株式会社シー・アイ・シー (CIC):主にリース会社や貸金業を行う保険会社、各種ローン会社(自動車ローン)等が加盟しており、事故情報登録期間は5年が目安。
- 全国銀行個人信用情報センター( KSC):銀行や信用金庫、信用組合等が加盟しており、事故情報登録期間は7年が目安。
債務整理が認められてから、5〜7年程度は事故情報が登録されるとみてよいでしょう。
一定期間クレジットカードやローンが利用できない
信用情報機関が管理する信用情報に、事故情報が登録(ブラックリスト)された場合、新たなクレジットカードの作成やローン契約の締結は困難です。
また、現在使用中のクレジットカードは強制解約されてしまいます。
カードの作成やローン契約の申込を受けるとき、カード会社や消費者金融・銀行等は、申込者の信用情報を必ず確認します。
債務整理後5〜7年程度は事故情報が登録されるので、申込者の事情を知ったカード会社等は返済能力を疑い、申込に応じない可能性が高いです。
たとえ信用情報機関の事故情報が抹消されても、自社でブラックリストを作成・管理していれば、審査に通らない事態も想定されます。
カードの審査に通らないならば、債務整理後も作成可能なデビットカード、プリペイドカード等でキャッシュレスサービスを利用できます。
またローン申込が難しいときは家計簿をつける等して、生活費の管理を厳重に行い、堅実に預金へ回す工夫が必要です。
資産を処分しなければならない場合がある
債務整理を行うと、債務者の財産が没収・処分される場合もある点に注意しましょう。
- 個人再生:住宅ローンがついた住居、カーローン(所有権留保)がついた車
- 自己破産:債務者名義の住宅や車、現金・預貯金等
ただし、個人再生の場合は住宅ローン特約を希望すれば、債権者から住居の差押えを受けません。
車のローンが残っている場合は、債権者と別除権協定の締結を試みたり、裁判所に担保権消滅許可申請を行ったりして対応します。
一方、自己破産の場合は99万円までの現金、残高が20万円以下の預貯金等は「自由財産」として没収されません。
「債務整理=クズ」は誤解!代表的な勘違い5選
債務整理の手続きは複雑なので、誤解を招くケースは多いです。
債務整理の効果やリスクをしっかりと把握しておく必要があるでしょう。
ここでは、債務整理によくある誤解を5つ取り上げ、わかりやすく解説していきます。
会社をクビになる?
基本的に債務整理が原因で会社からは解雇されません。
任意整理・個人再生を行っても、債務者は問題なく仕事の継続が可能です。
なぜなら、債務整理は私生活上の問題なので就業規則違反にあたらないからです。
ただし、自己破産の場合は結果的に解雇されてしまうケースがあるので注意しましょう。
自己破産が認められると、職業制限で業務ができなくなる可能性もあります。
例えば保険の外交員として保険会社に雇用されているならば、自己破産により一定の期間は外交員の業務が行えません。
この場合、保険の外交員として勤務すると雇用契約を締結したにもかかわらず、労務の提供ができなくなります。
外交員の仕事ができない期間によるものの、契約通りの業務が行えない以上、会社は雇用契約を解除できる場合があります。
家族に迷惑がかかる?
債務整理の影響を受けるのは基本的に債務者本人だけです。
信用情報に事故情報が登録されるのは債務者のみで、家族に何ら影響はありません。
ただし、家族の誰かが連帯保証人になっていると、債権者から借金返済を請求される可能性が高いです。
また、自己破産を行った場合、債務者名義の財産が没収されてしまいます。
債務者の所有する住居が没収されるので、同居していた家族も生活の拠点を失う可能性があります。
戸籍・住民票に記載される?
戸籍や住民票、マイナンバーカードにも債務整理をした事実は一切記録されません。
公的機関の記録に事故情報は記録されないので、第三者に債務整理の事実が発覚する事態はほとんどないでしょう。
一方、債務整理をした事実が残る(5〜7年程度)のは、信用情報機関の管理する信用情報です。
また、カード会社や消費者金融等が、自社でブラックリストを作成・管理している可能性もあります。
ただし、事故情報の記録があっても、積極的に債務者以外の第三者へ情報開示は行いません。
全財産を失う?
債務整理しても全財産を失うわけではありません。
自己破産の場合は基本的に債務者名義の住宅や車、預貯金等が没収されてしまいます。
ただし、次の財産は「自由財産」として没収の対象外です。
- 99万円までの現金
- 残高が20万円以下の預貯金
- 見込み額が20万円以下の生命保険の解約返戻金
- 処分見込み価額20万円以下の自動車
- 家財道具
- 居住用家屋の敷金債権
- 電話加入権
- 支払い見込み額が160万円相当額以下の退職金債権(160万円超:退職金債権の7/8)
- 差押えが禁止されている動産または債権
- 破産管財人が換価しないと認めた財産
選挙権がなくなる?
債務整理をしても選挙権が剥奪されるような事態にはなりません。
債務整理中でも債務整理後でも、選挙があれば問題なく投票できます。
なお、被選挙権も制限されないので、都道府県知事や市区町村長はもちろん、国会議員・地方議会議員に立候補しても構いません。
債務整理を弁護士や司法書士に相談した方がいい理由
借金問題に悩んでおり、債務整理を検討している債務者は、事前に弁護士や司法書士へ相談した方がよいでしょう。
債務整理の手続きは複雑で、法律の知識があまりない方々には難解な部分も多いです。
弁護士や司法書士からアドバイスやサポートを受ければ、スムーズに手続きが進められます。
状況にあった最適な債務整理方法がわかる
弁護士や司法書士に相談すれば、自分のニーズに合った債務整理法がわかります。
例えば「未返済の借金が高額になっているので、自己破産しか方法がない。」と債務者は考えているケースがあるとしましょう。
しかし、弁護士や司法書士が調査した結果、債務者に安定した収入があり、借金の減額や返済期間が延長されれば、十分返済は可能とわかる場合もあります。
相談を受けた弁護士等は、債務者の残債・収入・資産状況を踏まえ、自己破産ではなく任意整理や個人再生による問題解決を勧めることでしょう。
弁護士等のアドバイスで、債務者は把握していなかった事実に気付き、自分に最適な債務整理が選択できます。
督促が一時的にストップする
弁護士や認定司法書士が「受任通知」を債権者に送付すれば、取り立て・督促を停止できます。
債務整理を依頼すれば、弁護士等は債務者の代理人となり債務整理を進めると、受任通知で債権者に知らせます。
受任通知が届いたら、債権者(貸金業者)が債務者に直接連絡し、取り立て・督促をしてはいけません(貸金業法第21条1項9号、債権管理回収業に関する特別措置法第18条8項)。
そのため、債務者は取り立て・督促による精神的プレッシャーから、解放されることでしょう。
複雑で面倒な手続きを任せられる
債務整理の面倒な手続きを弁護士や認定司法書士に任せられます。
債務整理を進める場合は次のような提案・申立が必要です。
- 任意整理:返済計画案(整理案)・和解書の作成
- 個人再生:申立書や再生計画案等の作成
- 自己破産:申立書・陳述書(報告書)・財産目録等の作成
弁護士等が代理人となれば書類の作成・収集、裁判所への申立も委任できます。
ただし認定司法書士の場合、個人再生・自己破産の申立代理人にはなれないので注意が必要です。
よくある質問(FAQ)
債務整理の仕組みは複雑で不明点や疑問点も多いことでしょう。
ここではよくある質問に対して、わかりやすく回答していきます。
債務整理と任意整理の違いは?
任意整理は債務整理の手続きの一つです。
任意整理は他の債務整理である個人再生・自己破産と違い、裁判所を通さずに、借金問題の解決を目指す方法です。
また、全債権者が対象となる個人再生・自己破産と異なり、任意整理は債権者を選んで交渉が可能な点も特徴といえます。
ギャンブルや浪費でも債務整理できる?
ギャンブルや浪費により借金が膨らんでも、債務整理は可能な場合があります。
自己破産の場合、ギャンブルや浪費が原因ならば「免責不許可事由」の対象です。
免責不許可事由に該当すれば、基本的に自己破産は認められません。
ただし、裁判所の判断で免責される場合があります(裁量免責:破産法第252条2項)。
また、任意整理や個人再生の場合、基本的に借金をした原因は問われません。
債務整理後にクレジットカードはいつから使える?
基本的に信用情報から事故情報(債務整理をした事実)が抹消されるまで、クレジットカードの作成は認められません。
信用情報機関の管理する信用情報には5〜7年程度、事故情報が登録されます。
事故情報が抹消されたら、基本的にクレジットカードの新規作成は可能とみてよいでしょう。
ただし、以前利用していたカード会社が、申込者の事故情報を記録・管理している場合、申込を拒否するおそれもあります。
家族や会社に知られず手続きできる?
債務整理の手続きは、家族や会社に知られずに進められるケースが多いです。
任意整理の場合、弁護士や認定司法書士が代理人となれば、債権者との交渉の窓口を任せられます。
また、個人再生・自己破産の場合、弁護士が代理人となれば、債務者本人の代わりに裁判所へ出頭が可能です。
そのため、債務整理中も債務者は普段と変わらない生活を送れます。
ただし、家族が連帯保証人になっている場合は、債権者から連帯保証人に返済を請求されるので、事前に相談しておいた方がよいでしょう。
まとめ|債務整理はクズではなく、人生再スタートの第一歩
債務整理は債務者にとって、社会復帰そして経済的自立を目指す方法といえます。
その一方で、債務整理を行う債務者に対し、否定的な感情を持つ人がいるのも事実です。
しかし、債務整理は借金救済制度であり、国が認めた債務者の権利です。
そのため、借金問題解消のため債務整理を進めるのは、決して恥ずかしい行為ではありません。
債務整理について、まずは弁護士や司法書士へ気軽に相談してみてはいかがでしょうか。